くるみさんの不運な一日
嫌みは嫌みで返したいのに、浮かぶ言葉は「バカ」とか「ハゲ」とか小学生並の言葉ばかり。


だから余計に悔しくて、必死で言葉を探してるのに。


「良かったらどうぞ」

にっこりと、営業スマイルをかましながら、天川智明は残った唐揚げをあたしに差し出す。


「…………くっ」

出た言葉がそれだった。


何が言いたいのか自分でも分からない、小さな小さな一言だった。


次の言葉も出てこないし、どういう反応すればいいのかも分からない。


そんな内心パニック状態のあたしに、
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