イミテーションラブ
お昼時間の終わりがけに英里奈先輩が休憩室に来てくれて、おにぎりとお茶、差し入れに栄養ドリンクとゼリーを買ってきてくれた。
「ねえ大丈夫?」
心配して、薬いる?と聞いてくれる。
「すみません…お昼ご一緒できなくて…」
「いいよ、そんなこと。あ、田崎さんも心配してたよ。後から顔を見に来るって…」
「そうですか…」
顔を合わしたくないのになって思って大きな溜息が漏れた。
「あれ?ケンカでもしたの?」
勘の良い英里奈先輩が私の表情を読み取った。
「…ケンカではないんですけど」
言葉を濁して返事をする。
「まあ、田崎はモテるからね、ヤキモキするよね。」
意味深な言い方でこっちの反応を伺う。
「そんなんじゃないですけど…」
ゴニョゴニョ言ってると、英里奈先輩がまどろっこしいのか、スパッと確信に触れる。
「…で、二人は結局付き合い始めたの?」
「いえ…まだ…」
「そうなの?最近二人共いい雰囲気だから、てっきり付き合ってると思ったけどな…」
「…だといいんですけど」
「うーん、智花が本命だと思うんだけど、田崎って人気あるし、調子のいいやつだからね…気を持たせる言い方するし」
「………」
その言葉でまた胸がザワザワした。
英里奈先輩は急ぎで頼まれた仕事があるからと先に戻っていった。
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