愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
大切なもの


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目を開けると焦点が合わず、覗きこんでくる誰かの顔が見える。

少しふわふわとした感覚がして、未だに夢の中にいるような感じだ。









そういえば、あれは結局なんだったんだろう。


仁が助けに来てくれて、そして自分の事を妻だと叫んでくれた事。

怒りを含んだ切ない表情。






恐る恐るお腹に手を当てると、ポコポコと胎動を感じてホッとした。


煙にまかれて苦しくなった時、水分の含んだ布を口に当てられたお陰で呼吸も出来た。

あれが少しでも遅かったら、今の自分もお腹の子もこの世に居なかったかもしれないと思うと身震いがした。







1番に優先すべきはお腹の子なのに、生まれてきてくれる前から母親失格だ。

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