素直になれない、金曜日
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数日前の昼休み、急に図書室に集められた。

どうしたのだろう、と思っていると。





『そろそろ本格的に文化祭の準備をはじめようと思うんだけど』




委員長先輩が 図書委員のみんなにそう呼びかけた。

なるほど、もうそんな時期なんだ。




『準備しようにも今、手元に何もないからさー。この週末に、誰か買い出しに行ってきてほしいんだよね』




費用は生徒会持ちだから安心して、と先輩が付け足した。



たしかに、この図書室には本以外には何もない。

作業を始めるなら、最低限、画材だったり布だったり板だったりが必要だろう。




……つまり、この中の誰かがそれらを買いに行かなければならないということだ。




『買い出しかあ~、行きたいんだけど部活がね……』

『私もだー』




図書委員の先輩は部活に所属している人が多い。


しかも結構ハードな運動部───バレー部だとか、ハンドボール部だとか。


たしかに、部活の練習を抜けて週末買い出しに行くのは厳しいかもしれない。



かといって部活を引退している三年生の先輩たちも、もうそろそろ週末は受験勉強に追われている頃。



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