素直になれない、金曜日



微かな期待に胸をふくらませていると。



「ねーたん!夕ごはんできたよ!」



扉の外から、小春が私を呼ぶ声がする。




「はーい、今行くね」




返事をして、扉の外に出れば。




「あれ?ねーたん、顔真っ赤!!」


「えっ……!?」




慌てて頬に手を当てれば、確かに抗いようのない熱が篭っていた。


砂川くんのことを考えていたら、いつの間にか─────


ぼんやりしていると、小春が私を小突く。





「ねーたん、変なのっ」




促されるまま、食卓に着きながらも頭の中ではぐるぐると考える。


────たしかに変かも。






今日、ずっと私の目には砂川くんがきらきらして見えていた。


今日だけじゃない。
砂川くんは、いつも。




どうしてか、なんてその理由は
考えても今はまだ私にはわからない。




────きっと、このきらめきの名前に気づくのはまだ少し先のこと。







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