桜吹雪の中で
少し昔の話をしようか


「菜美ちゃん、合宿前日にごめんねー」
「いえ、大丈夫ですよ!
薫さんからの誘い嬉しかったです!!」


私たち二人は歓迎会もやった
お好み焼き屋さんに足を運んだ。


「いらっしゃーい!
お、新人ちゃんに薫ちゃん!」

「おじさん、カウンターでもいい?」

「いいよー
今日は誰もいないからねー」


お昼すぎのせいか人はいなかった。

「丁度いいや…」
薫さんがぼそっと呟いた。


カウンターに座り注文した。
薫さんはどこか不安そうな顔をしていた。
いつもの明るい薫さんではなく
少し、暗い薫さんだった。

そんな薫さんが口を開いた。


「菜美ちゃん、最近翼と微妙でしょ?」

えっ?!
なんで、薫さんがそんなこと知ってるの?

私は驚きのあまり
質問に答えることができなかった。

薫さんが続けた。

「翼、家に帰っても前みたいにおとなしくてさ…」

「前はすごい大人しくて、ずっと部屋にこもってたの。

あ、じゃあ
少し昔の話をしようか。」

薫さんが軽く笑い、話し始めた。
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