彼は高嶺のヤンキー様(リクエスト編)


「それでは、瑞希お兄ちゃんが目を覚ますまで、静かにしてます・・・!」


モゴモゴ言いながら、定位置の椅子に座ろうとする凛たんに俺は言った。


「じゃあさ、こっちおいで、凛たん。俺の前に座りな。」

「え?烈司さんの?」


腰かけた状態で手招きしながら言えば、小首をかしげながら聞いてくる凛たん。


「そうそう♪LEONさんの前においで~」

「れおん?」

「俺が仕事に使う時の名前♪見た目も、仕事スタイルなわけ♪おわかり?」

「あ・・・どうりで・・・いつもと、髪型や服装が違うわけですね?」


普段、凛たんの前では上げている前髪を下ろし、服装もちょっとばかしこじゃれた物を着ている。


「似合う凛たん?」

「はい、お似合いですよ。」

「ありがとー♪いつもよりは気合入れて、めかしこんだからよぉ~派手じゃねぇ?」

「いいえ、そんなことないです。とてもセクシーな感じです。」


〔★いつもよりも色男度が高かった★〕


「マジで?凛たん俺見ても、全然何も言わないからさぁ~コメントしにくいのかと思ってよぉ~」

「そうだな。ホストくずれみたいで、ドン引きしたのかと思ったぞ。」

「ケンカ売ってんのか伊織!?」

「スルーしたということは、そういうことだろう。なぁ、凛道?」

「い、いえ!違います!前にも―――――あ!」

「「前にも?」」



凛たんの言葉を、伊織と二人で聞き返す。


「烈司、LEONの姿を凛道に見せるのは、今日が初めてじゃなかったのか?」

「あー・・・そのはずなんだけどな――・・・」

「そ、そうです!!初めてです!!つまり!!その!!瑞希お兄ちゃんが~!!」

「あん?瑞希ぃ?」

「言ってみろ、凛道。」

「そ、その~み、瑞希お兄ちゃんが!瑞希お兄ちゃんが~酔った時に~・・・烈司さんがLEONと名乗る占い師だと~!身振り手振りで、マネをされましてぇ~!それを見慣れていたと言いますかぁ~・・・アハハハ・・・」

「何やってんだよアイツ!?」

「なるほど・・・酔った瑞希ならあり得るな。」


凛たんのセリフに俺ら納得。


「す、すみません!すみませんっ!!」


凛たんは凛たんで、俺らの言葉にペコペコと何度も頭を下げる。


「いいよ、いいよ。凛たんが謝ることじゃねぇーから。頭あげな?」

「むしろ下げすぎだろう?太ももまで、頭を下げるな。」

「は、はい!本当にすみませんでした・・・!!」

「いいよ、いいよ。つーか、身体柔らかいな、凛たん!?めっちゃ前かがみ、できてるじゃんか!?」

「馬鹿者。あれは前屈だ。体前屈。」


〔★もはや、謝罪のポーズではない★〕



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