私の愛しいポリアンナ


「なんで、その男は合鍵を作れたんだ?」

「わたしが仕事に行くときに、彼がまだ寝ていたので、ポストに返すよう書き置きして置いて行ったものを使われまして」

「・・・」

秋は無言で腕を振りかぶった。
このバカ女の頭を思いっきり叩いてやりたい。
その衝動のままに振りかぶったのだが、さすがに女性に手を挙げるのは品位がない。
途中でしっかり手は止まった。
しかし怒りは持続している。
なんで、この女はこうも厄介ごとを引き寄せるのだろう。いや、自分から厄介な男に関わりに行っているのだろう。
どちらにせよ良い迷惑だ。

「まず、俺に言うことがあるだろう」

「助けてください」

「その前に?」

「すみませんでした。私、やっぱりちょっとダメな男の人を放っておけなくて」

「お前はちょっとどころじゃなく!『とんでもない』ダメ男ばかり引っ掛けてるんだよ!」

人生で最大くらいの大声が出た。
女性に声を荒げるなんて秋の今までの人生では考えられないことだ。
しかし怒鳴られた当のみのりは、「困ったなぁ」という様子でうなだれるだけだ。
怯えた様子がないのは助かるが、本当に反省しているのか怪しい。




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