私の愛しいポリアンナ
「わかった、その男をあんたの家から追い出せばいいんだな?」
「はい、お願いします」
「助けてやるが、そのかわり、あんたは俺の家に住め」
「は、え?」
「今日の朝自分で言ってただろうが」
「いえ、まぁ言いましたが、あれは私の家に帰れなかったからで・・・」
何が何だかわからないといった風にみのりが口ごもる。
ようやく彼女に焦りが見えてきて、秋は気持ちが良かった。
「いいか、今回のことでよくわかった。あんたは監視の目がないとすぐにダメな男にひっかかる!一人暮らしなんかしてるからその癖が加速するんだ!俺の家に住め!仕事が終わったらすぐ帰る!いいな!?」
そして秋の家でまともな男と見合いをすればいいのだ。
芹沢みのりに自由時間を与えるとすぐにダメ男に引き寄せられる。
このくらい厳しくしないとダメだ。
秋はもう、激情のままに口走っていた。
みのりはその勢いに押されポカンとしている。
「そうと決まれば、いくぞ」
「えっ、私、了承してないんですけど」
「あんたに拒否権はない!」
「嘘でしょう!?」
えっ本当にそれ断れないんですか!?強引すぎません!?天下のジャイアンもびっくりするぐらい強引ですよ設楽さん!なんてみのりがごちゃごちゃ言っているが、秋は全て無視した。
善は急げだ。
時間は誰も待っちゃくれない。
その勢いのままに、宵の口の町並みを、愛車ビートルでかっ飛ばした。