お前が好きすぎて、マジやばい。


そんな初デートという名にいかないぐらいのデートを終えて、知愛を駅まで送り、家に帰る…



『はぁー…』



さっきまで知愛と居たのに、急に隣に誰もいなくなると寂しくなる…。


帰ってもどうせ1人だし


そう思って鍵を開けてドアを引くと開かない。


は?


俺、ちゃんと鍵閉めたのに。


もう一度鍵を開けてみるとドアが開いて、玄関前に視線を落とすと母親のヒールだけが置かれていた。


急いでリビングまで行くと、母親はエプロンを付けてキッチンに立っていて…


は?意味わかんねぇ。



「おかえりなさい。」


『んだよっ!何の風の吹き回しだ』


「知愛ちゃん…とってもいい子ね。」



母親はテーブルに置かれた手紙を指差した。




凰己くんのお母さんへ

初めまして。凰己くんとお付き合いさせて頂いている八幡 知愛といいます。私が言える立場ではないのは分かっています。でも、これ以上凰己くんを傷付けないで下さい…。痩せていく凰己くんを見るのが辛いです。凰己くんがたくさんバイトを入れてる理由を知っていますか?凰己くんの居場所を奪わないで下さい。もっと凰己くんを見てあげて下さい。逃げないでちゃんと向き合って下さい。私は凰己くんの寂しさの穴埋めでもいいんです。でも、抱きしめる事しか私はできないんです。どうか…親子の絆が元に戻りますように。

八幡 知愛




そう書かれていた…。


知愛…なんで。





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