包み愛~あなたの胸で眠らせて~
そして、金曜日に四人で居酒屋に来た。


「お疲れ様ー!」

「乾杯!」


生ビールのジョッキを持って、元気よく乾杯をする堀田くんと星野さんに合わせて、覇気のない乾杯をしたのは広海くんと私。

広海くんと堀田くんは私と星野さんに合わせて、定時に仕事を終わらせくれた。

明日は休みだからと開放的になっている二人は一気に半分ほど飲んで、表情を和らげていた。その気持ちは分かるけど、同じ気持ちになれないのは目の前に座っている広海くんのせい。

広海くんにそっと視線を向けてみると、彼は無表情で取り皿を片手にして中央に置かれているサラダを取ろうとしていた。

その取り皿を星野さんが、素早く奪い取る。


「私、分けますね。苦手な物はないですか?」

「ああ、特には……」

「どうぞ!」

「どうも……」


サラダを盛った皿を、にこやかに広海くんへ渡してから他の分も取り分ける。

星野さんは自分で自分をアピールしているのか、率先して取り分け、飲み物が終わりそうになるとすぐ注文していた。

気遣いの出来る女をアピールしているようだ。私が何かをしなくても、星野さんは十分自分の魅力や存在を出している。
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