不埒な先生のいびつな溺愛
「なっ……」

先生の言葉を聞いたとたん、カッと熱くなり、高ぶった感情が爆発してしまいそうになった。

そのまま荷物を持って、逃げるように部屋を出た。このまま先生の部屋にいたら、おそらく先生に酷いことを言ってしまうに違いない。

先生の意味の分からない言葉の中で、今日の言葉もかなり意味不明だったが、それでも全く良い意味ではないということだけが分かっていた。

『お前は生身の女じゃない』

そう言われ、私の体の女である部分が次々に痛み出すような心地だった。

それに耐えられそうもなかったから、先生が次に言った「だからもう帰れ」という指示に従い、すぐに部屋を出たのだ。

何が小説の中の人間だ。

こんなにつまらない登場人物がどこにいるというのだろう。先生はどういう意味でそう言ったのだろうか。

一番ショックだったことは、先生の話の中で唯一読み取れたことだが、私のいる小説には先生はきっといないということだった。

先生がいるのはリアルで、私だけが小説の中。

先生はそういうつもりで言ったのだということだけは分かった。

あれは私たちが同じ世界にいるという言い方ではなかった。こんなに近くにいるのに、先生の中で私は別世界の人間だというのだ。

だから私は先生のベッドには決して呼ばれない。
先生の部屋にいても、私は生身の女として見られていないから。そういうことだったのだ。

そんな悲しい話ってある?
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