不埒な先生のいびつな溺愛
先生らしい。
先生が他人の評価を気にしない、と言ってくれることは、私にとっては嬉しいことだ。先生には自分のために作品を書いてもらいたい。

私は思わず笑顔が溢れて、ちょうどネクタイもキュッと整った。

終わって、私が手を離すと、先生は妙な顔をした。

「先生?」

煮え切らない表情でこちらの目をじっと覗き込まれ、なかなか視線を離してくれない。
甘えられているような、ねだられているような目。

「……もう終わりか?」

「え?」

もう終わりか?、って……。
それって、もっと触って、っていう意味? 嘘でしょう?

意外すぎる先生の態度に困惑したが、私はそれでも、先生が甘えてくれるなら、それに応えたかった。

本当は許されるなら今までも、もっとこうやって彼に触ってみたかったのだ。

「……まだ、でした」

もう一度手を伸ばして、また先生の前髪を整えた。

十分整っているけれど、先生を可愛がるように、指先をいったり来たり、何度も優しく動かした。

触っていて感じてくるのは、先生はこうされるのが気持ちいいらしいということ。

キリッと鋭い顔のはずだけど、こうしていると、猫のようにふわふわとした可愛らしさがにじみ出てきた。時折、目を細めて、恥ずかそうに視線を逸らしたりする。

やめどきが分からなくなり、一度手を離してみた。

「……美和子」

先生はまた、物欲しそうな顔をした。
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