不埒な先生のいびつな溺愛
三木先生が見えないくらいに離れて、ついでに人の少ないお手洗いの向こう側へと場所を移動した。
久遠先生も面倒そうについてきた。
「もう、先生。さっきみたいに誉められたら、ちゃんとお礼を言って下さいね」
「分かってる」
「分かってないですよ。さっき三木先生に言ってなかったですから」
「……あれは誉められてねーだろうが。若者受けを狙いやがってって皮肉を言われたんだろ」
「三木先生はそんな人じゃありませんよ。先生の考えすぎです。本当に、素直じゃないんですから」
ため息をつきつつも、先生のネクタイがズレていたので、私は無意識に手を伸ばしてそれを直していた。
先生の体はピクリと揺れた。
「なっ、なんだよ」
「もう、先生。ネクタイ緩めちゃうの癖なんですか?」
結び目をもう一度上までしっかりと上げて、さらに襟を整えた。私はその間も会話をやめなかった。
「先生の作品はたしかに若者に支持を集めましたから、そういう意味で流行りという表現だったのかなとは思いますけど。若者受けを狙ったなんて、私は思ってませんよ。先生の作品は時代なんて関係なく、心に響きますから」
「……べつに、俺はどう思われようが、興味なんてない」
久遠先生も面倒そうについてきた。
「もう、先生。さっきみたいに誉められたら、ちゃんとお礼を言って下さいね」
「分かってる」
「分かってないですよ。さっき三木先生に言ってなかったですから」
「……あれは誉められてねーだろうが。若者受けを狙いやがってって皮肉を言われたんだろ」
「三木先生はそんな人じゃありませんよ。先生の考えすぎです。本当に、素直じゃないんですから」
ため息をつきつつも、先生のネクタイがズレていたので、私は無意識に手を伸ばしてそれを直していた。
先生の体はピクリと揺れた。
「なっ、なんだよ」
「もう、先生。ネクタイ緩めちゃうの癖なんですか?」
結び目をもう一度上までしっかりと上げて、さらに襟を整えた。私はその間も会話をやめなかった。
「先生の作品はたしかに若者に支持を集めましたから、そういう意味で流行りという表現だったのかなとは思いますけど。若者受けを狙ったなんて、私は思ってませんよ。先生の作品は時代なんて関係なく、心に響きますから」
「……べつに、俺はどう思われようが、興味なんてない」