不埒な先生のいびつな溺愛
先ほど亡くなったお父さんの顔を目に焼き付くほどに見たことで、私の想像する先生とお父さんの思い出のようなものが浮かび上がってきた。

何度もお見舞いに行っていたのかもしれない。
その度に、お父さんは先生を心配し、お嫁さんを連れてきてくれ、なんて素直にお願いをしていたのかもしれない。

少なくとも、先生はその最後のお願いを必死に守ろうとしていた。

私がただの女漁りだと、勝手に無駄なことだと決めつけていた先生の相手探しも、先生にしてみれば本気のことで、大切なことだったのだ。

私は自分のことばかりで、それを単純に軽蔑していた。どんなに遠回りだろうと、先生はただお父さんの期待に応えたかっただけなのに。

不器用な先生が、結局お父さんの願いを叶えられなかったこと、私はそれが今になって、胸が痛くなるほど悲しくなった。

「先生。高校生のとき、私は先生の家に行ったことがありますよね」

「……え」

私が今まで、高校生のときのことを話題に出すことは本当に少なかった。

だから先生も少し驚いたようで、赤信号で停車するとき、先生の息づかいが詰まったのと同時に、タイヤもキュッと音を立てた。

「覚えてますか?」

「……覚えてる」
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