彼のいちばん
はじまり
内田かのには好きな人がいる。
でも、誰にも言えなかった。

竹下裕太とは毎日連絡を取る。
恋人のように。

普通なら、好きな人と頻繁に連絡が取れるのは嬉しいこと。自慢できること。
でも、かのはそんな感情を抱くことも許されなかった。

なぜなら彼には彼女がいるから。



「もうすぐ、テストだね」

「うん、英語がこわいの」

「単語覚えたらできるよ」

「いいわね、勉強出来る人は。」

「いや、俺もそんなできないよ」

「はいはい、謙遜は結構」

「そんなんじゃないってー」

二人は、2年も3年も同じクラスだった。
3年で2回目に同じクラスになった時からずっとこんな調子でLINEで話していた。
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