彼のいちばん
かのは、彼女持ちの裕太とLINEを続けることに引け目を感じていたが、裕太の言い分にも納得したし、純粋に話すのが楽しいのもあったので、このまま続けることにした。

英語のテストの前の日、いつものように夜にLINEがきた。

「いよいよ明日、英語のテストだね」

「竹下、どうしよう、不安すぎるよ〜」

「俺もまだ、単語覚えきれてない。」

「私もまだ覚えなきゃいけないのある!」

「単語の問題、出し合いっこしない?電話で。」

これが、初めての電話の誘いだった。
かのは男子との電話は、高校に入って3ヶ月でできた元彼と二回話したことがあるくらいだった。(2回目は別れ話)
だから、彼女持ちの男友達と電話なんて、したこともないし、していいのかもわからなかったのである。

「え、電話…かぁ…」

「あ、無理なら無理しなくていいよ
俺、このままLINEしてたら、お互い勉強しないまま寝そうだなって思って。笑」

「いや、無理とかじゃないんだけど…」

「じゃあ、かけてもいいかな?」

「えっあっ、うん、わかった。いいよ」

かのは正直、新しくできた男友達との距離感がわからなくなっていた。元彼と別れてから、恋愛さえもわからなくなっていたのだった。
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