きみが虹を描いてくれた青空の下で

「八重!」


廊下から呼んでいた声の主が、泣きじゃくる大声を聞きつけて飛び込んできた。


慌てた様子のその人は、
すぐそばの高校の制服を着てた。
キャメルの詰襟とセーラー服が有名な進学校。
その制服にそぐわない色素の薄いミディアムヘアの前髪を掻き上げて、睨むような鋭い目でこっちを見てる。


「お前、八重になにした」


「え、えと……」


あまりの剣幕で、恐くて何も言えなかった。

誰だろう……この子の彼氏とか?

< 29 / 120 >

この作品をシェア

pagetop