きみが虹を描いてくれた青空の下で
「お兄ちゃん……」
「八重、ダメじゃないか。あんまりウロついてなんか感染ったら大変だろ」
……よかった、兄妹か。
ん? なにホッとしてるんだ、私。
「……お前、八重とどういう関係なの」
妹の肩に両手をポンと置いたまま私のほうを向いたその人は、今さっき妹に優しく語りかけたのとは別人みたいに冷たい声で、言った。
「どういう関係も何も……その子が何か文句あるみたいで……」
なんか、確かに私も酷いこと言ったけど、この不利な状況はちょっと理不尽じゃないかと思った。
だってその目、明らかに敵意しかないんだもん。
すごい整った顔だから、睨んでると迫力ありすぎ。
「お兄ちゃん、もういいよ、いこ」
「だけど、え……あ、うん」
兄のほうは納得いかない様子だったけど、二人はそのまま大部屋から出て行った。