わたしのキャラメル王子様
「もうそんな時間?悠君とおしゃべりするの楽しいんだもん、あんた達が学校に行っちゃったらママひとりぼっちだし」



「もう、わがまま言わないで!」



「なんか沙羅のがお母さんくさいね」



悠君はダイニングチェアから立ち上がってママにハグをした。



「行ってくるね。今日もママに神の御加護があらんことを」



ママは幸せそうに目を閉じてる。
生まれと育ちがアメリカだと、こんなふうに頬を寄せるのも挨拶みたいなものなんだよね。



だから悠君にくっつかれても深い意味はないんだ。
家族としての親愛のしるしってこと。
やっぱりもういちいちドキドキするのやめよ。



「二人とも気を付けてね!」



「うん、ご馳走作って待っててね」



「もっちろん!」



ママはニコニコ嬉しそう。
私は一人っ子だし、あんまりおしゃべりなほうでもない。
それにパパは単身赴任が長いから、懐いてくる悠君が可愛くて仕方ないんだろうな。



「じゃいってきまーす!部活終わったら寄るね~」



「いってらっしゃーい!」



悠君は6歳で日本に戻ってきたものの、家族はまたあっちに戻っちゃって、今はうちからすぐのマンションで独り暮らし。
昔も今もほとんどうちの子みたいなもん。



「晩御飯ハンバーグって言ってたよ。楽しみだね」



悠君もニコニコして嬉しそう。
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