わたしのキャラメル王子様








「というわけでね、今点滴打ってもらってるみたい」



救急車で運ばれたことにも気づいてないだろうな。たぶん爆睡してる。



「人は眠いと走りながらでも寝られるものなんだね」



ただの睡眠不足ならよかったじゃん、って京ちゃんも笑ってる。


ほんとに死んじゃったかと思って泣きながら救急車を呼んだのに、駆けつけた救急隊はこう言ったのだ。



「…………爆睡してますね」



そう。なんと悠君はスヤスヤと眠り込んでいるだけだった。



電話でママに助けを求めると、あんたは学校に行きなさいって、ママはそのまま救急車に乗り込んだ。



病院にはママがいてくれると思ったら
心配こそしなかったものの、走りながら寝ちゃうくらい悠君は疲れていたんだと思うと、胸が張り裂けそうだった。



10分そこらの休み時間の継ぎ合わせじゃ説明しきれないと思って、待ち望んだ昼休み。
お昼をすませても、京ちゃんに話したいことは延々と尽きることがなかった。



こっそりバイトをしてたことや、どうやらそのことで咲田さんに弱味を握られていたっぽいこと。
それからお父さんの会社の経営が安定していないかもしれないこと。とりあえず話せることだけは、説明してみた。



詳しいことはまだ聞けていないけど、だいたいの事実関係はそんなところだと思うから。
それからもうひとつ、大事なことがあった。



「あとね、幼なじみ……やめてみました」



「え!ついに付き合うことになったの?」



「うん。なのにママは帰ってくるし、悠君倒れちゃうし、なんか全然浮かれることができない」



悠君のパパの会社が危ういのかもしれない、っていう心配事もあるし。

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