がらくたのハート
でも、人間っていいですよね。
笑ったりするのは、楽しいからなんでしょ?
ワタシは、「楽しい」と言う言葉は分かるのですが、その空間を感じる事が出来ません。

ワタシのデータには、「心が踊る様な」とか「その瞬間を大切にする」とか、そういうのはあるんですが……。

やっぱりイマイチ理解が出来ません。


「好き」とか「嫌い」と言うのもどういう事なんでしょう。


データがありません。

さて、そんな事より料理を作らないといけないですね。


パイ生地はあるので、ビーフシチューを作って、生地に包んで焼くだけです。


包丁がまな板に当たる音。かなり早いですよ。
ニンジンだろうがジャガイモだろうが、全部同じ厚さに切れます。

調味料も目分量で、毎回同じ味に出来ます。

だってロボットですから。


機械的でしょ?

ちょっと味を分析してみましょうか。

『塩分が3、甘味が2、苦味が0、酸味が0.5、辛味が1、旨味が5。データ通りですね』

指にセンサーが着いてるので、こんな事が出来ます。データ通りにやれば、間違える事がないんですよ。
他にも、鉱物の成分とか飲料水の成分とか、いろんな物を調べられます。

すごいでしょ。
< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop