最恐ドクターの手懐けかた
だが……
実際病棟に着いた瞬間、身体が震えた。
遠藤先生にきゅんとするより、むしろ会うのが怖かった。
恥ずかしかった。
「冴木さーん!
おはようございます!」
いつものように元気に挨拶してくれる優奈ちゃんに、
「おはよう」
笑顔で返す。
……大丈夫、大丈夫、笑えている。
そのまま大塚先生にも。
今日は幸いにも、余計なことを言う中井先生は来ていないようだ。
ホッとするとともに……何気なく視線を上げた先には、内診室から出てきた遠藤先生が立っていた。