最恐ドクターの手懐けかた





「うわー!

遠藤先生、あんなにピアノ上手いんだ」




東さんの瞳は潤んでいる。





「エンディー、しでかしてくれると思ったのに、マジで弾けるんだ」




中井先生はぽかーんとしている。

そして、漢マンの熱狂的信者である大塚先生は、




「遠藤先生が神に見えます……

あのかたは、漢マンと同格だ……」



ガクガクと震えていた。

そんなみんなの隣で、ホールの中央に微かに見える遠藤先生を見て、涙を流していた。





ピアノを弾く遠藤先生は、メスを握る遠藤先生とは違う顔をしていた。

もっと優しげで楽しげで、漢マンみたいで。

その表情と音色が、胸をぎゅっと掴んで離さない。

これ以上、私を誘惑するのはやめてください。

やめようと思うのに、私はどんどんあなたに惹かれていく。



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