最恐ドクターの手懐けかた
おずおずと顔を上げる。
すると、目の前にはバツの悪そうな顔をした遠藤先生がいる。
いつもは鋭い輝きを放っているその瞳は、焦りの色が見え隠れする。
あー、この人漢マンなんだと思うと、恐怖の遠藤先生を前に笑いそうになる。
だけどそれをぐっと我慢して、恐る恐る彼に告げる。
「じゃあ……病院近くの行列のできるカフェの、ロールケーキが欲しいです」
遠藤先生はブチ切れるかな。なんて思ったが……
「分かった」
そう言い捨てて、財布を持って出て行ってしまった。
そんな遠藤先生の消えた扉を見ながら、私の心の中の悪魔が囁いた。
『この弱みをちらつかせて、遠藤先生をいいように使ってやろう』