仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
私は彼の斜め後ろから覗きこむ。
白く厚い高級紙。四方には可憐な花々を空押しした、花嫁の門出を祝うようなデザインが施されている。その下部には金色の流麗な書体でEternitaと箔押しされていた。
常盤社長はスーツの胸ポケットから万年筆を手に取り、左手に握る。
左利きだ――そう思って眺めていると、彼は伸びやかでありながら神経質そうな綺麗な文字を書きつけた。
「独占契約、誓約書?」
黒いインクが白紙に吸い込まれるように、じわりと乾いていく。
花嫁のために用意された可憐な白紙には、全く結婚に関することではない不穏な響きの文字が記されていた。
「独占契約っていうのは、通常同業他社のオファーが制限されるわけだけど。本件の独占契約は君の契約続行を許可する代わりに、今後一年間、君はうち以外の全オファーを一切受けられなくなる」
「えっ!? そんな……!」
全てのオファーを受けられないという言葉に困惑する。
「僕にとって『エテルニタ』はとても大切なものなんだ。それを世界へ発信する媒体が、僕の意図から離れることは許せない。だから改めて君と僕の間で個人的な雇用契約を結ぶことで、色々と解決しようと思う」
白く厚い高級紙。四方には可憐な花々を空押しした、花嫁の門出を祝うようなデザインが施されている。その下部には金色の流麗な書体でEternitaと箔押しされていた。
常盤社長はスーツの胸ポケットから万年筆を手に取り、左手に握る。
左利きだ――そう思って眺めていると、彼は伸びやかでありながら神経質そうな綺麗な文字を書きつけた。
「独占契約、誓約書?」
黒いインクが白紙に吸い込まれるように、じわりと乾いていく。
花嫁のために用意された可憐な白紙には、全く結婚に関することではない不穏な響きの文字が記されていた。
「独占契約っていうのは、通常同業他社のオファーが制限されるわけだけど。本件の独占契約は君の契約続行を許可する代わりに、今後一年間、君はうち以外の全オファーを一切受けられなくなる」
「えっ!? そんな……!」
全てのオファーを受けられないという言葉に困惑する。
「僕にとって『エテルニタ』はとても大切なものなんだ。それを世界へ発信する媒体が、僕の意図から離れることは許せない。だから改めて君と僕の間で個人的な雇用契約を結ぶことで、色々と解決しようと思う」