notice me〜僕に気づいて〜
prologue


notice me~僕に気づいて〜



ここに来てどれぐらい経ったのだろうか……


何週間か経っているはずなのにこの部屋は一切変わってない。時間が止まっているみたいだ…



窓の外を見ようと体をおこす。
窓の外は雪が降っていて真っ白だ

いつからふりはじめたのかな?

いや、そもそも今は、何時何分の何月何日なのだろうか…。


私は同じ人間と同じ地球で住んでいるのになにも分からないと思うとまるで私だけが別の世界に住んでいると思ってしまう。


(何も知らないのは…私のせいじゃないんだけどね…)


しばらく、静かに舞い落ちる雪を眺めているとガチャっとドアが開く音がした。


「あ、胡桃--くるみ--さん」


この聞きなれた声…


そっとドアの方に視線を移すと入ってきたのは毎朝、朝ご飯を持ってきてくれたり様子を見に来てくれたりする、優秀な医師、時雨洸--しぐれ、こう--名前は日本人っぽいが金色に輝く髪と空色の瞳をみればハ-フなのだ。
そんな時雨先生は世界で最も優秀な大学イギリスの、--ケンブリッジ大学--に進学していた超エリートな医師である。


「おはようございます。今日早起きですね、胡桃さん」

「ええ、まぁ」

「そうですか、いいことですよ。あ、今日の朝ごはんは僕が作った特製お粥。めしあがってくださいね」


輝かしい笑顔で、お盆にのせたいい匂いが漂うお粥をテ-ブルに置いた。
いつもならテキパキと椅子に座って食べるが、今は食べる気などまったくない。


「ん?どうしたのですか?珍しいですね」


彼は中々動かない私をみて、不思議そうに首を傾げる。ちょっとあせっているのか眉毛をハの字にして心配な目で私をじろじろみる


別に食欲がないわけじゃない、逆に言うとお腹が空いてる方だ。食べる気がないのはある悩みを抱え込んでいるからなのだ。その悩みを時雨先生に聞いても話をそらされる。

だからといってここで諦める訳にはいかない……


今、この瞬間に言わないと…





後悔する。






そう思うのは…





焦っているから?







それとも…









何も知らないまま死ぬのが嫌だから??



ここまで考えてしまうと今日言えば何かが変わることを信じて聞くしかない。
ごくりっと唾を飲み込み弱々しいがしっかりと力がある言葉で聞いてみた


「時雨先生…」

「はい、なんでしょう?」

「東雲胡桃が(私が)なくした全ての記憶をなぜ教えないの?なんか、隠してるよね?」


どういう言葉返ってくるのだろうかと考えてみるとあまりの緊張で声が震えずにいられなかった。その後、時雨先生は戸惑いみせるが誤魔化して苦笑いをする












そう。
私は記憶をなくしている。一部だけとかじゃなくて親の顔さえ覚えられないほど、ほぼすべて思い出せない。

みんなの話からよると私は結構すごい人で頭がよくてもてていたらしい…そんな私が記憶をなくして-


『なんか…胡桃じゃないね』

『ちょっと違和感がある』


など、今の私“記憶をなくしている東雲胡桃”を東雲胡桃だと否定している人たちもいる…
それがちょっと嫌で、記憶を無くしてても東雲胡桃として思ってほしい…しかし、そんな中ちゃんと私を見てくれた人がいた。



思わずため息がついちゃうほどかっこよくて優しくて…

こんな人が私の恋人だったらな...なんて恋人がいる私が考えてはいけないことを考えてしまう


まあ、なぜ記憶喪失になったかは
気づいたらいつの間にか病院にいたあの日からはじまったのだ
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