愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「やっとぴっちゃんと予定があったんだもん!今日は喋るし食べるよ!」

千夏ちゃんが張り切っていくつ目かのパンを手に取る。

ちなみにぴっちゃんっていうのは、私のあだ名。もとい、SNSのアカウント名・ぴちょんからきてる。ながらくこの名前でお互い呼び合ってると、リアルで会っても変えづらい。いや、とんでもない名前ってわけでもないからいいんだけど。

私たちは120分という時間制限いっぱいチーズフォンデュを楽しんだ。
……とはいえ、アラサー女子ふたりなもので、後半はまったりドリンクを飲みながら、別注文のチーズとはちみつのかかったアイスクリームなんかを食べたりしてたんだけど。

「ぴっちゃんももう人妻かぁ。旦那さん、オタクに理解ある人でよかったじゃない」
「いや〜、バレたのはびっくりしたけど、言ってみるもんだねぇ」

私は頭を掻き掻き、答える。

「千夏ちゃんちは?最初から知ってたんだっけ?」
「私たち、最初の出会いが某有名ロボットアニメの合コンだもん」

ははぁ、オタクにはそんな出会いもあるんだった。私は結婚自体に興味がなかったからスルーしてきたけど、一度くらい経験してみればよかったなぁ。

「一番感じがよくて話も合うから、この人だーって即お付き合いしたけど、腐女子を告白するのは勇気いったよ。彼は純粋に作品が好きな人だったし、『Aくん×Bくん至上〜。結婚しろ〜』とか言って嫌われたくなかったし」

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