愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
ケーブルカーは古い作りで、車両と車両のつなぎ目からは地面が見える。すうすう風も吹き込んできて、ある意味迫力がある。携帯や定期入れを落とさないようにしないと。

「早雲山でロープウェーに乗るけど、雫さんは高所恐怖症とかなかったよね」
「ない……けど、揺れる?」
「わからない。風が強ければ揺れるかもしれないね」

ううん、それはちょっと怖いな。
高所恐怖症ってほどじゃないけど、リフトなんかはあんまり得意なほうじゃない。ロープウェーや観覧車なんかは直に風を感じないだけマシなんだけど。

ロープウェー乗り場はスキー場のリフト乗り場に似ていた。
すでに風がびゅうびゅう吹いていて、寒さを感じる。
風邪ひかないようにしなきゃ。今夜のあったかい温泉に期待だ。

びゅおおおおという風の音におののき、思いのほか高く迫力のある景色に息を飲みつつのロープウェーとなった。
あきらかに顔色の悪いだろう私に対して、高晴さんは気遣い方がわからないのか特に何も話しかけなかった。
仲の良いカップルだったら、「怖いよ~」「大丈夫だよ」なんて会話があって、彼氏は彼女の恐怖をやわらげようと手を繋いだりするんだろうな。

なんて、私と高晴さんの間に期待しても無駄だ。

高晴さんはなんで私を誘ったんだろう。
家族でいてくれるためだと思ったけれど、本当は違うのかな。
案外、今夜あたり別れを切り出されたりして。
やっぱり合わないから夫婦解消しようとか言われたらどうしよう。息苦しいこと言っちゃったの、私だもんなぁ。
私が『ヤダヤダ~』って駄々こねるのはアリなのかな。高晴さんはどう思うだろう。

……って、私はこの結婚をやめたくないの?
もっとライトな気分で結婚したはずなのに。いつのまにそんなことになってるの?
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