愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
私は高晴さんの背にぴたっと額をくっつけ、よちよちと進みだした。高晴さんは長い脚でぐんぐん進み、私はコバンザメ方式で彼にくっついて歩く。

しかし、この様子、傍からみたら結構変な図だぞ。
仲良しカップルがきゃっきゃしてくっついている様子には見えない。よちよち歩きのペンギンの親子って感じ。私も高晴さんも必死過ぎる。
そして、風の向きがひとたび変われば私は容易に煽られ、高晴さんのジャケットの裾をぎゅーっと引っ張り耐える有様だ。

「雫さん」
「なに?高晴さん」
「これ、ちょっと周りから見たら変な感じになってるんじゃないかな」
「私もちょうど同じこと思ってた」

高晴さんが振り向く。私が見上げる。
目が合って、思わず笑ってしまった。

「なんか、ちょっと間抜けだよね」

ごおごお唸る風に負けずに私は声を張り上げる。
いきなり、高晴さんが私の肩を抱いた。

「いやじゃなければ、これでも。風は浴びるけれど、前には進める」

肩を抱かれてしまった。ちょっとびっくりしたけれど、悪くない。恥ずかしいけれど嫌じゃない。ぴたっとくっついた高晴さんの身体があたたかくて、寒いのに頬が熱くなる。

「じゃあ、こっちでお願いします」

ドキドキする。無性に照れてしまう。だけど私たち、なんだかおかしいね。
再びくすくす笑うと、高晴さんは困ったように頬を緩めていた。

ああ、ようやく私たち笑い合えた。ここまでの緊張感がわずかにほどける。
高晴さんの腕の中、あったかいな。風は強いけど、こうして歩けるなら悪くない。
高晴さんも同じこと、考えてるかな。

「高晴さん、お土産買いましょ。写真も撮ろう」
「風がすごいから、手短にね。俺が雫さんと景色を撮るよ」
「駄目、ふたりで自撮りするの。きっと私たち、風に吹かれてすごい顔してるだろうから」
「そんな思い出、残すの?恥ずかしいな」

この旅行、ちゃんと楽しもう。
せっかく高晴さんが作ってくれた機会なんだもん。

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