よくばりな恋 〜宝物〜
切欠


紅は困っていた。



新入社員研修が終わり、大阪駅ほど近くの居酒屋で希望者だけで打ち上げと称した飲み会に参加していた。




隣に座った女の子が「ちょっとトイレ」と言って席を立ってから随分経つ。流石におかしいなと思ってトイレまで様子を見に来た。


かなり飲んでいたし、倒れてなかったらいいけど。


廊下の突き当たり、トイレのドアがほんの僅か開いている。2階にもあると聞いたけど、わざわざ遠い方に行くとも思えず、そのまま進んで行く。


「う・・・ぁ・・・」


ドアの隙間から聞こえる声に、紅はビクッとした。

まさか苦しんでる・・・?


ドアの取っ手に手をかけ、内開きのドアを少し押して見えた光景に慌ててドアを戻す。


見覚えのある同期の女の子と男の子が抱き合ってキスしていた。


紅の顔に一気に血液が集まる。


酔って気が大きくなっているのかもしれないけど、どちらも大胆過ぎない・・・・・・?


立ち去ろうにも他の人が来たらまた同じものを目撃するわけで・・・。


鍵を掛けてと声をかける・・・?
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