【短編】チョコレートは恋の味
千宙でも、私のことで、分かんないことがあるのか。


新しい発見だ。


「まあ、諦めるつもりだったけどさ。」


私も、クッキーをつまむ。


甘さを控えめにしたとはいえ、まだ私には甘い。


「なんとなく、かな。なんか諦めたらいけない気がしたんだ。」


「どういうこと?」


「自分でもよく分かんないよー。」


ははは、笑ってごまかす。


その言葉に嘘はない。


ほんとに、自分の気持ちが分からないんだ。


「それに、羽柴に負けたら、ろくなことにならなそう。」


「そうだね~。」


流石、千宙。


今の言葉で、私の心情に気付いてしまった。


深い意味を感じる、千宙の『そうだね』。


「ほんと、鈍いんだから。」


千宙の、小さなささやきを聞いて、私の心は、きゅっと引き締められた。


* * *

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