【短編】チョコレートは恋の味
「できたぁぁ。」


作ったのは、簡単なチョコレートクッキー。


甘さ控えめ。


形は丸オンリー。


可愛げのないクッキーだけど、羽柴に文句は言わせない。


私がチョコを作っただけでも、奇跡なんだから。


明日は、大雪かもね。


「ありがとう、千宙。おかげで何とかなったよ。」


「どういたしまして。」


材料の準備から、可愛いラッピングまで面倒を見てくれた千宙は、大満足、という達成感のあふれる顔をしていた。


すごいな女子力。


「ねえ、波奈。どうしてそんなに必死にやったの?羽柴のチョコレート。」


余ったクッキーをかじりながら、千宙はたずねてくる。


「え?」


質問の意図がよくわからなかった。


だって、こんな状態にしたのは、千宙じゃん。


「本当に手作りするなんて。波奈お菓子作りなんてしないし、諦めるのかと思った。」


「はい・・・?」




< 22 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop