【短編】チョコレートは恋の味
「羽柴のは?」


一応、もらってあげるから、と手を出す。


「ん?俺の・・・?」


いつも見せない、少し意地悪な顔で、羽柴はとぼける。


「そ、そう。勝負でしょ、これ。」


どきどき。


心臓がさっきからうるさい。


私、明らかにおかしい。


「じゃあ、目つぶって。」


「は、何で目をつぶらないといけないのさ?」


「いいから、いいから。」


もう、仕方ない。


諦めて私は目をつぶる。


ドクドクドクドクと、血の巡る音がする。


心臓、うるさい。
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