雨と制服とジャージ
先生の声が、色っぽく耳に掛かる(気がした)。

「えっ、何、何かって」

ドキドキする私に、先生はぽそりと囁いてくる(気がした)。

「そうだな。運動とか。ストレッチ、とか?」

え。
こんなに男女が密着しながらやるストレッチって、一つしか思い当たらない。
しかも、先生から……誘ってくるなんて。

「……ストレッチ……ですか」
「ああ。リラックスできるしな。……ってお前、ちょっとひっつき過ぎじゃねぇか」

怖がりまくっていた私はいつのまにか、先生の胸にむにゅうとEカップを押し付けていた。

けしてわざとじゃないと誓える。
わざとできる技術があれば、もっとモテ街道をひた走ってきただろう。
そりゃ一度ぐらいは男子に告白されたこともあるけれど、地味に平凡に過ごしてきたし、何より私はまだ……。

正真正銘の 処女 なのだ。

なのに、先生は冷たく私に尋ねる。

「……お前、俺に迫ってんのか?」

ひいっ!
少しだけ慣れてきた暗闇で、先生が私を睨んでいるのがわかる。
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