雨と制服とジャージ
せ、迫っ……!
迫ってなんか!

「ち、ちが……ちがいますっ、全然っ」
「お前なー。男にこんな体を押し付けるようなこと、無意識にやんなよ。罪深い奴だな」
「え、でも私……モテないし」
「……そんなことねえだろ。結構かわ……いや、何でもねえ」
「え」
「何でもねえよ!」

世にも恐ろしい顔で否定されてしまったけれど、え、え、今、かわいいって……。
先生は私の肩を持って、ぐいっと押しやり立ち上がった。

「あーもう、早く復旧しねえのかよ。ブレーカー見てくる」
「先生、待って」
「ちょっと離れろ、今はやべーから」

やだ。
だって今、先生の素顔を見せてくれた。
でも、先生に怒られるのも怖くて、もう近づけない。

……ピカッ
ドドドドッ、バリバリドドーン!

「きゃああああ〜っ!」

頭を抱えて床にへたり込む。膝が震えて千鳥足だ。
すると、先生がぐっと手を握り、力強く抱きしめてくれた。
外からは、雷雨の音が途切れない。

「……マジで、なんて日だ。今日は……」

私の髪に指を差しこみ、先生は悩ましげに憂う。
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