言えなかったよ。言いたかったよ。
*変わりたくない関係*



「俺、遠距離自信ねーわ」

小さな公園にある赤色のシーソー。お互いに足で地面を蹴りながら、かれこれ5分ほど上下を繰り返している。


「あんたの頑張り次第じゃないの?」

私は冷めた口調で言い返す。


「いや、そこはもっと大丈夫だよ!とか安心させてほしいんだけど」

「ってか、ちゃんと地面蹴ってよね。私の体重のほうが軽いんだから上がりっぱなしになるじゃん」

「へいへい」


ギーコーギーコーと、錆びた音が響く中で私は空を見る。

さっきまで綺麗な茜色をしていたのに、もう西のほうが薄暗くなりはじめている。


てっぺーとは、4年と3ヶ月くらいの付き合い。

てっぺーと語尾を伸ばして呼んでいるけど、本当は哲平。

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