言えなかったよ。言いたかったよ。


はじめて出逢った中学一年の時は、身長が小さくて制服もブカブカだし、おまけに坊主だったから、某有名なお味噌のキャラクターにちなんでマルコメくんなんてあだ名がついていた。

ちなみにてっぺーの名字は丸山。

マルヤマくんでもマルコメくんでもあまり大差はなかったけれど、本人は相当イヤだったらしい。

だからってわけじゃないと思うけど、てっぺーは中学二年から急激に成長した。

身長もでかくなり、制服もしっかりと様になるようになった。

そして高校二年の17才になったてっぺーはマルコメくんなんて言えないほどただの男になった。



「なに考えてんの?」

私がぼんやりと空を見ていたからてっぺーが聞いてきた。


「んー色んなこと」

「色々あったよな、綾瀬とは」


てっぺーがクスリと笑う。

この顔はきっと私が自転車で坂道を転げ落ちたことや先生のことをお母さんと大声で呼んだり、私が体育倉庫に誤って閉じ込められて恥ずかしいくらい大泣きした時のことを思い出しているんだろう。


13歳から17歳。

色々あった。ありすぎた。だけどいつだって私の思い出の中にはてっぺーがいる。

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