舞蝶~絶望を知った女総長~ ※コメディあるZE☆

とか考えてたらあっという間に毒……何だっけ?
あ、そうそう『毒牙』だ。そうだ。
“毒”多すぎて忘れてたわ。
てへっ☆













…………うし、突撃しますかぁ。

え? 滑ってたって??
………………気のせいじゃない?


んじゃまあおふざけはここら辺にして……


さて愛乃さん今日も元気に

ドッガァァァアアアン!!!!!

愛「こんにちはぁぁぁあああ!!!!」
毒牙の皆さん「?!?!」

倉庫のシャッターを蹴破る。

ひゃっほぉぉおおおう!
たーのしぃぃぃいいいいい!!!!

愛「んん。ちと元気すぎたな。さて! 気を取り直して!

どうも! 『散蝶』でっす!!」

左手を腰にあて、目の横にピースする。
縦のピースじゃなくて横のピースな。
……ちょっと自分でも何言ってるのか分からなくなってきた。

毒牙の総長「なっ! 『散蝶』だと?!」
愛「そうだよーん。あんた毒牙の総長さんだよね? ほれ見てみ毒牙の総長さん。『散蝶』限定紫ピアス〜」

そう言って毒牙の総長さんに『散蝶』の証であるピアスを見せる。
いちいち毒牙の総長さんって言うのだるいな。
ボスでいいや。

毒牙の下っ端「おめえ! さ、『散蝶』だと?!」
愛「ちょっとモブは黙っててくんない?」
モ「なっ!!」

モブくんなんかうるさいよお?

ボ「ちょ、ちょっと待て! 話せば分かる!! 偉人もそう言っていた!!!」
愛「ねえ知ってる? それ言った偉人さん直後に殺されてるんだよ?」
ボ「嘘だぁ!?」

うわあ頭わっる!

愛「てことで問答無用」

10分後。
総勢200人ほどいた『毒牙』のメンバーはほぼ壊滅状態だった。

愛「うーん。手を抜いていたとはいえ、10分もかかってしまうとは……」

これはもうちょっと頑張らないとなぁ。
と、そこで。

ボ「ぐっ……。皆……今まで済まなかった……。俺、本当は薬とか誘拐とか、やめたいと思っていたんだ。だけどもう後戻り出来なくて……『散蝶』さんが突撃してきた時に、これは更生出来るいい機会なんじゃないかと思った。こうして俺らは今、無様にやられて地に這いつくばっているが、これからはもっとちゃんとした族にしたいと思っている。どうか、どうか着いてきて貰えないだろうか……」
モ「「「そ、総長……」」」

うおお泣きだした。
すげえ。男泣きって初めて見た……

ん? 親父?
あいつは男じゃなくてただのヘタレだから。
小説冒頭からグスンとか言っちゃうただのカスだから。

モ「総長! 俺、いつまでも着いていきます!」
モ2「俺も!」
モ3「俺も着いていきます!!」

下っ端達が一気に俺も俺もと言い出した。
少しうるさいと思ってしまった私が悪いんですよね分かりますごめんなさい。

ボ「皆……! ありがとう……!! 今日よりこの暴走族の名前は清龍─せいりゅう─だ! 清く正しく龍が如く己の道を突き進む。そんな暴走族になれるように!!」
モ「「「うおおおおおおおおおお!!!!!」」」

おー湧いてる湧いてる。
なんかいい雰囲気だったので私は静かにその場を後にした。





──────ちゃんと倉庫の入口付近にシャッターの修理代プラス祝いの金を置いてから。

祝いの金結構大金なんだよな。
ちゃんとした倉庫まるまる買い取れるくらい。
封筒×数枚にはちゃんと“『散蝶』より祝いの金☆”って書いといたから安心して使えると思う。
やっぱり出だしは肝心だよな。

この数ヶ月後、清龍が全国1位の族になったことはまた別の話である。
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