絶対彼氏
まるで人間味のない洋二を連れ出したって、きっと楽しくもないだろう。


「なに乗り気じゃない顔してんだよ」


「だって……」


「外に出てわかることだってあるだろ?」


雄大の言葉にあたしは首を傾げた。


「それってなに?」


「用事の歩き方とか、特徴的なことだよ。ちゃんと観察して、また送り返せばいい」


「そうかもしれないけど、何度も送ってきてくれるかわかんないじゃん」


2度目に返品した後はもう戻ってこないかもしれない。


「きっと大丈夫だって!」


強引な雄大の言葉に、あたしは渋々頷いたのだった。
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