復讐日記
ぽっちゃりとしたその人は、怪訝そうな顔であたしを見ている。


「すみません、花音の友達の海老名彩愛といいます。花音に用事があるんですけど、会わせてもらえませんか?」


早口でそう言うと、父親の表情が少しだけ和らいだ。


「こんな時間、なんの用事ですか?」


が、簡単には会わせてもらえそうにない雰囲気だ。


居てもたってもいられなくて飛び出してきたけれど、やっぱり時間がまずかったようだ。


「この前家にお邪魔した時に、大切なものを忘れてきてしまったんです」


あたしがそう説明をした時だった。


階段を下りて来る足音が聞こえてきて、あたしは視線を向けた。


「花音!」


階段から下りて来た花音にすがりつくように声をかけた。
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