色眼鏡
「そっか、気を付けてね」


そう言い佳奈は階段を上がって行く。


「ぶつかったんだから謝れよ」


そんな声が聞こえてきてあたしは佳奈の後ろ姿を見つめた。


ゴクリと唾を飲みこむ。


「佳奈!」


勇気を出して呼び止めた。


「え、なに?」


階段の途中で立ちどまり、振り返る佳奈。


その表情はいつも通りで変わらない。


「ぶつかって、ごめんね」


「あたしは大丈夫だよ。気をつけて帰ってね」


佳奈はそう言いあたしに手をふってくれたのだった。
< 47 / 258 >

この作品をシェア

pagetop