沈黙する記憶
蘇る
あたしは家に帰り、数日ぶりに制服を着た。


左胸につけられているネームを取り外し、杏のネームを付ける。


それからスマホを取り出し、杏と一緒にとった写真を確認しながら、自分の髪型を整えていく。


少しでも杏に近づくように自分を変えていく。


顔だけはどうしようもないけれど、雰囲気や他の細かい部分を似せる事はできる。


あたしは杏のような優しいほほ笑みを浮かべて鏡の前に立った。


顔は違っていても、よく似ていると感じられる。


明日はこれで夏男と会うのだ。


あたしは杏のネームをギュッと握りしめて、自分を落ち着かせたのだった。
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