沈黙する記憶
「俺たち、そんなに信用ないか?」


克矢の言葉にあたしは返事に詰まった。


そうじゃない。


そう言いたいけれど、心のどこかで杏の妊娠を軽視して笑われるんじゃないかと思うと、3人に説明することが拒まれた。


「千奈。言いにくい事なのはわかるけど、ここはみんなにも協力してもらった方がいいと思う」


裕斗がそう言い、あたしの背中を押す。


2人でいろいろを考えて行動するだけじゃ限界がある。


みんなの力も貸してほしい。


あたしはゆっくりと口を開いた。


そして「杏は妊娠してる」と、言ったのだった。
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