浮気の定理
私はぼんやりとあのよく喋るパートさんは菊地さんて言うんだ、とか。



うらやましいなんて私、言ったっけ?とか。



どうでもいいことをグルグルと頭の中で考えていた。



だけど私がその肌を誉めたと受け止めてくれたなら、それはそれで良かったのかもしれない。



おかげで年下だと間違えたことについては、あまり指摘されずにすんだのだから……



「じゃ、じゃあ仕事に戻ります!」



よくわからないタイミングでそう言うと、彼は目を細めて小さく頷いた。



「何かわからないことや困ったことがあったら、いつでも相談してくださいね?店長よりは敷居が高くないと思うので」
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