浮気の定理
女扱いなどしないくせに、女として利用する。



そんな夫をどう愛せと言うのか?



その行為は週に1回、多い時で2回に及ぶこともあった。



少しずつ大きくなる娘たちの横でするその行為は、なんとなく後ろめたい気持ちになる。



だんだん息の荒くなる夫に対して、私のそれは沈黙していった。



それでも構わず貫かれて、痛みに耐えることもままある。



そんな独りよがりの行為でさえも、家庭を守るためには我慢しなくてはならないのだ。



そして夫は、そんな私に気づくことなく、また寝転んだままスマホでゲームを始める。
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