浮気の定理
それを夫に期待するのは難しい。



夫婦に……家族に……なってしまった時点で、もう女ではなくなるのかもしれない。



妻という役割を与えられ、またさらに母という役割を与えられる。



そこに女は必要ないんだ。



だけどまだ子供に毛が生えたくらいに結婚してしまった私は、充分に女性として扱われないまま妻や母になってしまった。



言い訳かもしれないけど、だからこそちゃんと一人の女性として見てくれた飯島さんに惹かれたのかもしれない。



それがいけないことだとわかっていても、彼に惹かれていくのを止められなかった。
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