浮気の定理
「私……北川さんのこと、好きになっちゃったみたい……」



目を潤ませ、恥ずかしそうな振りをしながら、上目遣いに彼を見る。



案の定、彼は真っ赤な顔をさらに真っ赤にさせて、目を大きく見開いた。



「……だめだよ!俺、結婚してるってわかってる?
それに大事な先輩の娘さんに、手なんか出せないだろ?」



わかってくれ、と懇願するように……



彼は私の両肩を掴んでそう言った。



さも、自分がモテてるみたいな言い訳に、私は笑いが込み上げてくるのを必死に抑えた。
< 163 / 730 >

この作品をシェア

pagetop