浮気の定理


「桃子だと思って、した?」



枕に顔を押し付けながら、横にいる山本にそう聞くと、彼は嫌そうな顔で言った。



「そんなわけないだろ?」



「なあんだ、私はその方が嬉しかったのになぁ……

ま、桃子とはスタイルも顔も違うから無理か?」



私がそう呟くと、彼は呆れたような顔で私を見る。



「なんか……真由ちゃんて、屈折してんね?」



「そう?でもそう言われんの、結構好き」



ふふふん、と鼻で笑えば、山本は諦めたように溜め息をついた。



そんな感じで始まった関係は、もう3年は続いてる。
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