浮気の定理
涼子の心臓がどきりと跳ねた。



すぐにスマホを確認したい気持ちを抑える。



そんな様子に目ざとく気付いたのは、隣に座る真由だった。



「涼子?顔、真っ赤だけど、どうかした?」



指摘されて涼子の顔はますます赤くなる。



「別になんにもないよ?なんか店の中、暑くない?」



そうごまかしながらパタパタと顔を手で扇ぐ。



そうでもないよねぇ?と、真由がありさと桃子に同意を求めた。



涼子はなんとかその場を取り繕うと、急いで席を立った。



「お手洗いに行ってくるね?」



明らかに挙動不審だったけれど、もうそれしかこの場を乗り切る方法が見当たらなかった。
< 221 / 730 >

この作品をシェア

pagetop